プロローグ

運命……ですかね?

 ZXを購入した理由は、至極明快だ。夏のアシとして置いてあった88年式VWゴルフ2(99年10月で車検は切れている)を、復活させるためにかかるであろう費用とこのZXクラブの値段が、ほぼ同等だったからだ。ゴルフ2はマフラー交換、エンジンマウント交換、フロントとリヤのショック&スプリングを交換、エアコンホース&エキパンバルブ交換、バッテリー新品といったメニューをこなして、やっとこさ日々混んだ都内を巡回する気になるような状態。いくらぐらいかかるかは、今読んでいるアナタがヒマならば調べて算出してほしい。いずれにしても、中古車屋の店頭に並ぶ同年式の程度そこそこの中古ゴルフ2よりも高価になるはずだ。
 で、候補に挙がったのがこの、オートショップキャロル産ZX。ゴルフ復活資金ほどで譲ってくれるというハナシに、即決で乗ってしまった。状況は、走行がホントに4万キロほど、車検はナシ(自分でとること)、タイヤとバッテリーはキャロル畑から掘り出して交換していい、といったこと。
 さて、お話を2つ。まずZXは新車デビュー時に1000キロほど乗ったことがある。さる事情でニガイ思いもしたのだが、その直進安定性には驚かされた、というのが最も印象に残っていた。さらに知り合いがZXシュペールを愛用していたこともあって、乗り心地やヤレ具合についても予備知識はある。さらに、さらに、キャロルのドクター・アラ〜イいわく「ホントに壊れないクルマだよな!」の一言も効いている。ま、ハイドロがないから壊れないというだけのハナシでもあるのかもしれないけれど。
 ハイドロがないシトロエンを、アザ笑うようなヒトもいるし、ハイドロにあこがれるZXやクサラ、AXなんかのオーナーがいることも知っている。しかし、だ。実際ZXは、シトロエンがちゃんとハイドロの味付けをしているのも事実だ。味付けというのは、ちょっとムリがあるかもしれないけど、2CVから始まった、あの何とも柔らかい腰つきは、金属バネのクルマに連綿と受け継がれている。アミやディアーヌは同じ足まわりだから排除して、ヴィサ、AX、そしてZXのショボイほう、つまりスポーティと分類されないフツーのグレードには、ちゃんと同じ遺伝子を持つ足腰があった。都内でのチョットした路駐と高速連続走行にジャストフィットするサイズから言って、ま、ZXはイイチョイス……ということでコレにした。ゴルフ(コンディションがイイとして)は、疲れて帰る身には、あのエンジン振動はちょっと耐えられないしね。
 もうひとつの話しは、98年に2CVの50周年ミーティングを訪問しにフランスへ行った際、あるシトロエンディーラーのボスからZXラリーのミニカーをプレゼントされたという因縁めいた出来事が、ちょっと効いている。運命というか、予言ですかね……
 いずれにしても、ドクター・アラ〜イの言葉は、そのまま鵜呑みにできる、ハズはない。絶対何かアルだろうし、これを書いている今でも、程度は小さいけどトラブルやゴキゲンナナメの症状は出ている。
 で、できるだけ細かく、日記調にZXの出来事を記録してみることにした。量的にけっこう多くなるだろうしサーバーにXOOMを使っていることもあって、あまり画像は上げない方向で行きたいと思っている。
 国産車で1.6リッター&4メートル級の2ボックスハッチバックが絶滅してしまいそうな今、それを求めるには輸入車しか道はないんだけど、けっこうどの雑誌でもZXはスミに追いやられているんだよね。そんなにツマラナイクルマなのかぁ?
 ワタシは、直しながら楽しみを見つけるつもり。ま、結局はキャロル畑に収穫に出かけて、気が付いてみれば「メイドイン・キャロル」になっているんだろうけどね

2000.5.19

P.S. フランス車のHPだからといって、フランス・カルチャーのニオイは期待しないでください

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